産業医を選任する企業が知るべき法律は?労働安全衛生法などを紹介
【目次】
産業医を選任する企業が知るべき法律は?労働安全衛生法などを紹介
産業医を採用する際に
知っておかなければならないのが、
労働安全衛生法です。
2023年4月には法改正された内容が施行されます。
しかし、労働安全衛生法について
よく知らない方も多いのではないでしょうか。
この法令の違反をしてしまうと
企業と責任者の両方に罰金が課される等、
多くのデメリットも生じます。
この記事では、
労働安全衛生法の法令の概要を説明した後に、
産業医が守らなければならないことやおすすめの産業医の導入方法を紹介します。
産業医導入時に知っておくべき法律
まずは産業医導入時に把握するべき法律として、
労働安全衛生法が挙げられます。
ここでは法律の概要と法改正の内容を紹介します。
労働安全衛生法と
労働安全衛生法とは、
化学物質、専門機材、施工環境、メンタルヘルスなどの
多様な観点の労働災害の防止を目的として
危険を防止するために基準を確立するとともに、
労働者の遵守義務や自主性の促進を定めた法律です。
それ以外にも責任範囲を明確にするといった目的もあります。
労働者の安全を守るために、
一例として以下のようなテーマもこの法令順守の対象となっております。
- 安全管理者、衛生管理者、作業主任者の設置義務や安全委員会・衛生委員会の設置
- 機械や化学物質を扱うにあたって、使用制限や検査義務、特定機材の製造における都道府県労働局長の許可取得義務など
- 健康増進のために健康診断を受診させる義務、健康診断の結果の記録や改善活動の実施義務
労働安全衛生法が導入された背景
労働安全衛生法が施行されたのは1972年になります。
それまでの日本はまさに高度経済成長期であり、
労働者の健康や周囲の人々の健康よりも経済成長が優先されていた時期でもありました。
労災認定されている死者数の数も1960年代は6500人を超える年もあるなど、問題になっておりました。
これらの背景から労働者の健康を守るために、
1972年に労働安全衛生法が施行され、企業にこの法令を遵守するように義務付けられました。
その結果、1975年ごろには労災認定された死者数が3300人程度と半減し、大きな効果を上げました。現在でも継続して法改正が行われ、近年では1000人を割るなど効果を上げ続けています。
労働安全衛生法の法改正
2023年4月から労働安全衛生法の法改正が施行されます。
今回の法改正は主に 業者周辺の人たちに対する安全措置であり、
産業医とは関係ないですが押さえておくとよいでしょう。
法改正では危険有害と定められている作業に関して、
以下の人たちを対象に追加で一定の保安措置がとられます。
- 作業を請け負わせる請負人など
請負人が作業するときにも安全に配慮し、
作業内容の周知や保護具の使用を周知する必要があります。
- 同じ場所で作業を行う労働者以外の人
労働者以外の人も労働者・労働者以外の人の安全を守るために、
保護具の着用や危険物質がある旨の周知の徹底、喫煙、飲食などの禁止事項の周知、作業事故発生時などにおける避難指示の徹底などを行う必要があります。
産業医は、こういった法改正に関するキャッチアップも行い、
職場を適正化するために提案をしてくれます。
産業医・衛生管理者・安全管理者に関わる法律
労働安全衛生法でポイントとなる
産業医、衛生管理者、安全管理者の
3つの専門業務に関して認識しておくべきポイントを紹介します。
それぞれ採用・選任する前に把握しておきましょう。
産業医の選定
産業医選定でポイントとなるのは質と選任人数です。
この2つに絞って紹介していきます。
産業医の質に関しては労働安全衛生規則を確認すると
以下の観点において医学的な専門知識を保有していることがポイントになります。
- 健康診断の結果から労働者を保護するための面接指導
- 作業環境の維持管理
- 作業管理
- 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進
- 労働者の健康障害の調査、再発防止
選任人数に関しても、従業員別に法令で定められています。
- 50人以上3000人以下の従業員がいる事業場では1名以上選任が必要
- 3001人以上の従業員の場合には2名以上の産業医の選任が必要
- 50人未満の場合には選任義務の必要なないが、
労働者の健康保全が努力義務となっている
ここでは、事業場単位となっている点に注意が必要です。
例えば、会社の規模が100人だったとしても、
東京拠点に50人、大阪拠点に50人労働者がいる場合にはそれぞれの拠点で1名以上専任しなければなりません。
また、産業医を設置しなければならなかったり、
増員をしなければならなかったりした事象が発生した場合には、
その事象が発生した14日以内に専任をしなければならない点にも注意しましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
1000人以上の会社では設置義務のある専属産業医の選び方を解説!
衛生管理者の選定
衛生管理者の選定ポイントは資格の内容と人数です。
この2つをおさえて適切に衛生管理者を選定するようにしましょう。
衛生管理者の資格は、
第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の2つの資格があります。
第一種衛生管理者ではすべての業種の
衛生管理者になることができますが、
第二種衛生管理者では有害作業と関連の少ない
情報通信業、金融・保険業、卸売など定められた特定の
業種の衛生管理者にしかなることが出来ません。
また、労働衛生コンサルタントや医師でも
衛生管理者にはなることができます。
採用する際には注意をしましょう。
また、人数に関しては以下の表のようになります。
ただし、1000人以上の労働者がいる場合や労働者が500人以上で有害業務に30人以上従事している事業場では最低1人を専任としなければなりません。
事業場の労働者数 |
衛生管理者の最低選任数 |
50人~200人 |
1人 |
201人~500人 |
2人 |
501人~1000人 |
3人 |
1001人~2000人 |
4人 |
2001人~3000人 |
5人 |
3001人~ |
6人 |
安全管理者の選定
安全管理者の選定で気を付けるべきポイントは、
どのような業種で安全管理者が必要なのかという点と
どのような人が安全管理者になれるのかという点です。
安全管理者というのは、
すべての業種で必要なわけではありません。
林業、鉱業、建設業、運送業といった肉体労働中心の業種や
電気業、ガス業、熱供給業、製造業など
危険性の高い物質や業務を扱う傾向がある業務において選任が求められています。
これらの業種では50人以上の労働者を使用している場合には
最低1人の安全管理者の選任が義務付けられています。
また、安全管理者には特に資格はなく、
理系の大学を出ているかどうか等で年数は変わりますが、
2年~7年の産業安全の実務に従事した経験が求められます。
企業が選任する際には注意をしましょう。
産業医紹介サービスでおすすめの産業医を探そう
ここまで労働安全衛生法や
産業医・衛生管理者・安全管理者などに対する
法律のポイントなどを紹介してきました。
会社の規模が大きくなってきて
産業医を導入しなければならなくなった企業などは、
どのように産業医を探せばよいのかわからないと思います。
そこでおすすめするのが産業医紹介サービスです。
産業医紹介サービスの中には産業医の登録時に審査を設けており、
スキルの高い人材のみを取り扱っていたり、
企業の要望に合わせて産業医を変更してもらえたりすることもあります。
最新のメンタルヘルスの予防医療に
力を入れている人材を紹介してもらうことができ、
初めて利用する企業にとっても安心して利用できる
サービスとなっています。
継続して採用を検討している企業にとっても
より良い人材を確保できるサービスとなっているので、
ぜひ活用をしてみるとよいでしょう。
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まとめ
ここでは労働安全衛生法の概要と2023年の法改正の概略、
法律の観点から見た際の産業医・衛生管理者・安全管理者の
選任のポイント等を紹介してきました。
産業医に関しては、
数少ない医師免許を持った専門家を選任しなければならず、
新たに導入を求められた企業にとっては、
どのように採用すればよいのかわからない点も多いと思います。
そこで活用していただきたいのが産業医紹介サービスです。
自社で一から採用するのに比べて非常に楽ですし、
信頼できる産業医を紹介してもらえます。
料金も明確でわかりやすいことが多いので、
初めて選任を行う際にも安心です。
ぜひ、産業医紹介サービスを活用してみるとよいでしょう。