産業医の導入事例を紹介!解決できた課題は?
産業医を導入した場合の事例や、導入することで解決できることは何かと疑問を持っている方に向けて産業医を導入するメリットや、実際の事例、産業医を探す際のポイントを紹介します。記事を読めば、産業医を導入して解決できるメリットが明確になり、産業医導入をスムーズに行えます。
【目次】
産業医の役割
産業医の役割は、労働者が健康的な作業環境のもとで仕事を行えるよう、医師としての立場から指導・助言をすることです。従業員が健康な状態で働けているかどうかを判断するために、産業医は健康診断の結果の確認や職場を巡視し、問題があれば従業員にアドバイスをします。
産業医の導入で期待できるメリット6つ
産業医の導入で期待できるメリットを6つ紹介します。
こちらの記事でも詳しくメリットについて解説していますので、
ご参考にしてください。
産業医を設置するメリットとは?役割や必要性について紹介
1.健康診断の結果によって健康保持のアドバイスをもらえる
産業医は健康診断の結果を確認し、健康を維持するために今までと同じ働き方で問題ないかどうかのアドバイスをします。
2.治療と仕事の両立支援をしてもらえる
病気治療している労働者に対して産業医は、医学的な見地から勤務できるかどうかや、適切な労働環境についてアドバイスします。労働者は、無理をしてしまい病気悪化の可能性もありますが、アドバイスがあることで治療を受けながら就労できるでしょう。
3.ストレスチェック制度実施や長時間労働者への対応をしてもらえる
ストレスチェックを実施して、ストレスが高いと判断された労働者に対して面接指導します。長時間労働は、脳・心・精神疾患のリスクが高くなるため、一定の要件下で産業医の面接指導が定められています。
ストレスチェックについてはこちら。
【法人向け】診断も面談も丸投げ!6つのお勧めストレスチェックサービス比較
4.職場巡視により職場状況の改善ができる
職場巡視は、産業医が職場を見て回ることをいいます。職場の衛生環境を確認し、問題があればアドバイスをくれるため、職場状況の改善ができます。
5.衛生委員会に参加し職場環境へのアドバイスができる
産業医は、衛生委員会に参加して健康管理体制、就業環境、働き方について、専門的な立場からアドバイスします。産業医が委員会に参加することで事業所の活動状況や課題をより詳しく理解できるでしょう。
6.健康情報を管理し、労働者の職場環境の改善ができる
産業医は、健康情報の開示について労働者への同意を取りつつ、労働者の状態をわかりやすい形で上司や人事担当などに説明する役割を担います。それにより、適切な職場環境への改善ができるでしょう。
産業医導入事例
産業医を導入してどのような課題が解決できたかを、事例を通して紹介します。導入を考えている方は参考にしてください。
長時間労働者の産業医面接指導から精神科受診につながった事例
Aさん(35歳、既婚)は、ネットワークに関わるシステムエンジニア(S.E.)として勤務しており、プロジェクトリーダ―として長時間労働・残業していました。長時間残業の面談で、産業医は治療が必要な「うつ病」であると診断しましたが、本人は精神科受診を拒否しました。希死念慮(死にたい気持ち)がないことを確認し、翌週に再度面談すると約束します。
翌週の面談ではうつ症状の改善が見られず、上司にも報告し休養を約束してもらい精神科受診となりました。そして、うつ病と診断され、3ヶ月の休職後に職場復帰を果たしています。
この事例では、責任感が強くうつ病の治療を拒否した労働者に対して、再度の産業医面談を約束したことにより病状の悪化を防げています。
参考:厚生労働省こころの耳
<適性を踏まえて業務内容の調整に産業医が助言し、復職できた事例
30歳代女性で事務職として勤務していたBさんは、自宅で動悸や呼吸困難感を感じるといった症状が出たため、受診し「パニック障害」との診断を受けて内服治療を開始しました。その後、発作への不安から出社が困難になっていました。このような事例では産業医や保健師などが積極的に関わらなければ問題は解決しません。
復職は、同僚や上司の支援が得られるかどうかで大きく影響される場合があるため上司がどのような考えをもっているかを、産業医が確認する必要があります。上司と相談し本人が負担に感じていた業務を軽減させ、その業務以外の業務に集中できるような職種に転換することで、復職し勤務を続けられています。
参考:厚生労働省こころの耳
能力も評価も高い社員がうつ病を発症後、産業医の助言もあり、職場復帰した事例
34歳男性でシステムエンジニアとして勤務するCさんは、能力も評価も高く他の会社へ出向しましたが、その職場では業務上の失敗から現場上司に強い叱責を受けていました。3か月を過ぎるころには抑うつ状態となり、元上司が心配し産業医面談をしました。
産業医は、精神科の受診と自宅にて療養を指示し、専門医による診断名は「うつ状態」でした。その後、6ヶ月間の休養を経て、復職しました。
産業医は、主治医と連携しながら本人の病状と職場の環境を考慮して職務内容の変更について職場の上司と相談しました。産業医が上司に対して復職後の業務の変更や、残業の禁止、配慮するポイントなどの伝えることで、Cさんは安心して職場復帰できました。
参考:厚生労働省こころの耳
療養必要性を産業医が家族に伝え、療養し、復帰できた事例
石油化学工場で働くDさん(35歳男性)は、定期修理作業を行う際に今までの交替勤務から日勤業務に異動しました。定期修理の工事では多くの労働者が4か月の平均残業時間が80時間を超えて、多い人では150時間を超える現状でした。
Dさんは、その勤務で1ヶ月経った頃からうつ状態となりました。産業医は、休職となった場合に社宅であるためゆっくり休めないといった本人の意見を尊重し、家族や実家の両親に、病状、療養の必要性について、産業医が直接連絡しました。
その結果、実家での療養ができ、3ヶ月後には職場復帰が可能でした。産業医が家族にも療養の重要性を伝えることで、症状の悪化を防げた事例です。
参考:厚生労働省こころの耳
産業医探しのポイント2つ
産業医探しのポイントを2つ紹介します。
産業医選びについてこちらの記事でも詳しく解説しています。
産業医選びでもう悩まない!5分でまるわかり!最高の産業医の選び方
自社が産業医に求めるニーズを明確にする
まずは、自社が産業医に求めるニーズをはっきりさせましょう。産業医にも得意・不得意分野があるため、力を入れてもらいたい分野をはっきりさせると産業医探しの際にも困らないでしょう。例えば、メンタルヘルスへの対策、病気治療と仕事の両立支援、健康診断後、長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導など、どの分野に力を入れたいかを明確にしておく必要があります。
産業医に求める契約時間や条件を明確にする
産業医に求める具体的な要望や業務の進め方、必要な活動時間等を明確にして、産業医と契約する必要があります。なぜなら、大企業では面談が必要な労働者が多くなり、産業医の活動時間は増えるからです。例えば、面談してほしい労働者は多数いるものの、産業医が対応できる時間の制限から健康管理活動が滞ってしまうという状況に陥らないようにしましょう。
まとめ<
産業医を導入するメリットは多くあり、導入することにより解決できる課題もさまざまです。事例を参考に自社でも産業医を導入することによって得られるメリットを考えてみてください。産業医を探すなら手間を省ける産業医紹介会社の利用がおすすめです。産業医紹介会社を探すなら、産業医紹介会社比較サイトを利用してみてください。